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[コメント] 2001年宇宙の旅(1968/米=英)

どうしようもできない、という恐怖から、どうしようもできない、という安堵?へ
蒼井ゆう21

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この映画、初めは何だかとても怖かった。 HALの静かな暴走で、宇宙空間へと投げ出される宇宙飛行士、 に代表されるように、宇宙のような、一歩間違えれば確実に死が待ってる場所で、 頼りの綱のコンピューターに裏切られ、一人宇宙へと放り出される、という単純な、恐怖。それは、どうにかできる、という段階から、徐々にどうにかできない、という段階へとシフトしていき、最後はもう確実に無理、絶対的な不可能性への移行、という一連のプロセスの中で生じてくる感情だと思う。それが、どうにかできるからどうにもできないという恐怖。でも、この映画はその恐怖だけでは終わらない。その次がある。自分ではどうしようもできない、絶対に無理、という段階にシフトとして、しばらくの間は、以前、恐怖という感情が圧倒的だと思うけど、それが時間が立つにつれて、段段と変わっていくように思えた。どうしようもできない、という恐怖から、どうしようもできない、という安堵?というか、自分を守る何もかもが取り払われて、ただなすがままに身を任せようとする意思、さえもないようなものに変わっていくように思う。それは、恐怖を抱いている自分というものから、「自分」が抜け出ていく感覚、いつのまにか自分というものを眺めているもう一人の自分になっている、という感じだろうか。。しかし眺めている自分は、自分でありながら自分でない、というもの、自分=世界、という感覚、とまで言ってしまうと大げさかもしれないけど、その輪郭ははっきりとせず、ぼやけている。

また、この映画自体が、映画の世界での一種のモノリス的なものになっているように思えます。この映画を見て、ああ映画って面白いな、と思ったり、 ああ、なんてつまらないんだろう、と思ったり、別に普通、て思ったり、 何でこんな作品がこんなに語り継がれてるんだろう、と思ったり。 つまり、この映画を見ることで、誰もに何かしらの反応が生まれ、 その先に何らかの影響を与えていく。それは人類をスターチャイルドへと導く モノリスではないけども、映画を見る人達を何らかの方向へと導いていってるようにも思える、、まあ、その反応は段段と弱っているようにも思えるけども。

(評価:★4)

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