ヒーローものでさえ、主人公ってやつは必ずピンチに陥り、一度はやられかけるものだ。私はこの作品を観るまでそう信じて疑わなかった。

しかし、この主人公は無敵だ。どんな困難があろうと、どんな誘惑があろうと、全く意に介さない。

学園ものというか、教師が主人公の物語だと、教師である前に人間としての悩みが顕れたり、教師と言えども人間なのね的な描写が少なからずあると思うのだが、長塚京三演じる中学教師は無敵だ。

同じ中学教師でも金八先生のように一緒に生徒と泣いたり笑ったりしない。

ある種の完璧な教師像がそこにある。それは、生徒側の視点に立って「こんな先生がいたらいいなぁ」という甘ったれたものではなく、同じ教職者に対して「教師はかくあるべし」と言っているようにも見えるし「こんな教師になれたらなぁ」という憧れを抱かせるものがある。

何でこの映画を観たのかも忘れてしまったが、あまりの無敵さに清々しさすら覚えた記憶がある。

万人受けするとも思えないが、無敵な人間の姿を見たくなったとき、この映画をオススメしたい。