生涯をかけて一人の男性を愛した女性の生涯を描いた映画｡

話だけ聞くと警察に追われていた男に一目惚れし､生涯をかけて彼を追い求める女性の一途な愛を描いた作品だが､映画としては千代子の回想シーンの構成は千代子の脳裏の回想というよりも､回想が実体化したものにドキュメンタリーの制作を依頼された立花やカメラマンが実際に絡んでいるように見えるため､千代子の回想エピソードに集中できないまま映画が進んでいるように思う｡

現実には千代子の脳裏の回想なのだろうが､回想シーンではストーリーの時代背景もころころと変わり､さらに一目惚れの男性を追いかける千代子のシーンでは千代子が女優として出演した映画の中の1シーンと思わせるような見せ方も多々あり､どこまでが初恋の男性を追い求める千代子の話でどこまでが千代子の女優人生を描いた話なのかの線引きが非常に分かりづらい｡また､千代子の回想の中で活躍する立花は要所要所でおいしいところを持っていってはいるが､全体的には映画の空気を濁していたような印象｡

ただ､名も知らない男を健気に追い求めるという千代子の一途に愛を貫く姿勢や､各時代エピソードの時代背景やキャラ設定はしっかりと練られているのでストーリー展開には素直に感動できる｡