[コメント] クリスタル殺人事件(1980/英)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
殺人事件を捜査する中年女性の推理映画。アガサ・クリスティ原作の映画化。
途中までは仲の悪い女優同士の対立や怪しいな行動をとる女性マネージャーといった容疑者たちの怪しい人間関係が一通り描かれ、推理もののサスペンス映画としてはなかなか面白い展開であったが、ラストになって語られる犯人の安易で安っぽい動機のせいで全てをぶち壊しにしてしまったという印象。
そもそもこの映画で納得いかないのは、被害者がなぜ殺されなければならないのかという必然性である。犯人に故意に何か犯罪を犯したという動機があるなら納得できるが、この映画の犯人の動機は昔、犯人のファンである伝染病を患っていたと思われる被害者が犯人と接触したために犯人の子供が伝染病にかかり死んでしまったというもので、被害者自体が復讐の対象であるかどうかの根拠があるわけでもないのに、勝手に加害者だと決め付けて復讐に走る犯人の姿を見ているとなんて図々しい奴なんだと感じた。最後に自殺することで全てを正当化しようとしているところも最悪。
せっかく容疑者同士の対立で推理要素を高めていただけに、ラストのあっさりした展開はもう少し何とかして欲しいところ。
総評としては途中までの推理要素を全て投げやりにして、犯人の図々しい復讐劇に走ってしまった作品という感じで『オリエント急行殺人事件』や『ナイル殺人事件』のような推理映画を期待すると失望させられる作品。
エリザベス・テイラー演じる女優と対立する女優を演じたキム・ノバク好演だけが唯一の救い。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。