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[コメント] ウォーム・ボディーズ(2013/米)

ゾンビと人間の共存を緻密に描いた作品は2007年の『ゾンビーノ』もあるが、作品としては本作がもはや完成形に達してしまった印象。
わっこ

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ゾンビの青年と人間の少女の恋の行方を描いた、ホラー・ラブロマンス映画。

ゾンビと人間の共存を緻密に描いた作品は2007年の『ゾンビーノ』もあるが、こちらはゾンビと人間という本来なら敵対関係の間柄の男女の関係性を超越した恋愛ドラマの行方とゾンビたちに芽生える人間性という進化、そして、その後人間性を取り戻し、ゾンビから人間へ社会復帰した人々と人間との共存まで描かれ、ゾンビと人間の共存を扱った作品としてはもはや完成形に達してしまった印象。

ゾンビである主人公の視点で描かれている点はイギリスのゾンビ映画の『コリン』を思わせるが、主人公の感情を見せずにただ淡々と描くだけだった『コリン』よりも、主人公の独白や感情が全面に描かれる方が映画としては断然面白い。また『コリン』の中でも一瞬だけゾンビと人間の恋愛を期待させた展開があったが、それを本筋として描いた本作の方がやはり見ていて楽しい。

ストーリー的にはRとジュリーがお互いの関係性を乗り越えて、デートを重ねてゆく展開は見ていて微笑ましい。Rが仲間のゾンビに襲われそうなジュリーを助けるというゾンビヒーロー映画っぽい展開が見れたのも感動もの。

ただ唯一気になったのは、ゾンビの中で食欲だけに駆られ、自身の肉も食べて骸骨化したゾンビたちは人間性を取り戻したゾンビたちをテリトリーから追い出すだけに留まった真意がわからない。普通なら変化が起きたことを知った時点で殺すと思うのだが。

とはいえゾンビ映画の進化系としては、行き着くところまで達してしまったと感じるぐらい、完璧な形で見せてもらった作品で、『ゾンビーノ』のようなゾンビと人間の共存を描いた話が好きな人には非常にお勧めできる。

(評価:★5)

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