ハード･ボイルド･モンスター･アクション映画｡

人間臭く､それでいてどこまでもハードボイルドを貫くヘルボーイのキャラが前面に押し出され､彼を中心にストーリーがしっかり構成されており､アメコミ原作映画としては文句のない出来｡

『ロスト･チルドレン』もそうだが､無骨なキャラをやらせると､ロン･パールマンは本当に上手い｡さらにヒロインのリズ役にちょっと病的で小悪魔なヒロインを演じさせたら､最高の演技を見せるセルマ･ブレアを起用したのも素晴らしいキャスティング｡敵キャラではマスクをかぶった剣使いの殺人鬼トルエネンの動きが独特でよかった｡

系統的には『Ｘ−メン』に近い感じだが､キャラの引き立たせ方こちらの方が優れている｡

ヘルボーイを利用して冥界の門を開こうとするラスプーチン側の動きが計画性を伴ってる割には偶然要素が強いのが難点だが､この映画はストーリーよりもキャラの個性を売りの映画なのでほとんど気にならない｡特撮や怪物の造型は非常に丁寧に作られていて､安っぽさは感じられず､映像に集中できる｡

役者は有名どころではないが､アメコミ･ヒーロー好きなら観て損はない作品｡