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[コメント] アバター(2009/米)

「ドラマ」には期待するな。でも面白いんだ。それがキャメロン作品というものだろう!
HAL9000

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







セルフパロディといってもいいくらいの展開は、軽く笑いがこみ上げてくるほどのものだが、問題なのはかつての“エイリアン”や“ターミネーター”のごとき敵対する対象が“人間”にすり替わっていたことだ。『タイタニック』以来のキャメロンの心の中ではすっかり「人間こそが憎むべき存在」に成り下がってしまったのか‥。

セルフパロディという点ついては、シガーニー・ウィーバーが出ている時点で判断すべきかもだけど、彼女の立ち位置はエイリアンズのそれと微妙に変化があり、より純粋な母性や知性、博愛を象徴していた。これもまた作家の心境の変化なのだろうが、未来では女はより強くなるにしてもそれは暴力性を強化させるのではなくもっとメス由来の特性を純化させていくのだろうという願いが透けて見える。これって保守的な女性像だよね。それでいいのかどうかはここでは語らないが、そのかわりに人間の愚かしさはほとんど男がそのままに背負うことになる。これは安易な構成だけどそれでいいような気もする。なにしろ歴史が証明してるから。

そういう意味ではこの大げさなSFもそれなりに現代をフィードバックしているといえなくもない。新技術にチャレンジした挙げ句、ドラマ性を盛り上げる人物の表情といった映画的な機微を損なってしまったが、それをうやむやにしてしまうだけの構成力やアイデアはさすが。とにかく‥‥、もう一回観てみたいと思うな。

まあ、ところどころナウシカじゃん!という流れがあったりなかったりするけど、気にしてはいけないよw

(評価:★4)

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