誰が怪しいのか、何が真実なのか、観ている方にあれこれ考えさせるゆっくりさがあれば、最後はもっと劇的に面白かったでしょう。観ている間はそういう不満を感じていたものの、観終わって時間が経つと、忘れられない作品、録画を残しておきたくなる作品、に変貌していくのはビジュアルの魅力のせい。

ブロンドのショートに染め変え、上品さを演出してはいるが、却って唇のなまめかしさがひきたつリタ・ヘイワース！　鏡の間の銃撃戦のモンタージュのかっこよさ！　こういうのがフィルム・ノワールの美学ってやつなんでしょうか？ JAZZにその時代でしかだせない音（雰囲気）みたいなのがあるように、もう、この白黒の感じ、たまらないね。