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[コメント] 1秒先の彼(2023/日)

オリジナルの『1秒先の彼女』観た人がほぼ思ってたことが確信になったんではないか。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







やっぱり時間停止中の異性を連れまわすのって、女の子のほうが憧れのお兄さんみたいな人に対してやると全然違う。気持ちの悪さがまったくない。麗華が動かない一(ハジメ)を砂浜を引きずっていくわけだけど、健気さは感じても犯罪的な感じには見えないもんなぁ。貝殻と流木で作ったオブジェ(オリジナルリスペクトが凄い)の前で写真を撮る時の、岡田将生と清原果耶の体の大きさの違いに説得力があって、これはまさにチッチとサリーの身長差、片思い少女の出てくる少女マンガにおける男女の黄金比。もう女の子側を応援する気にしかならない。自分は映画の『天然コケッコー』が凄く好きで、山下監督ってなんか少女マンガのツボみたいなのを心得ているのかもな、と思ったりした。

全体的にほぼオリジナルどおりだけど、時間が他人より多くかかる人とすぐ済んでしまう人の違いに日本独特の「画数・文字数の多い苗字」ネタを絡めたり、ワンテンポ遅いというキャラ付けをシャッターチャンスを逃してしまうカメラ女子としたところ、バスの運転手問題(オリジナルは男の主人公がバスの運転手だからバスで好きなところに行くのは問題ないのだが女の子を運転手にはさすがにできないだろうしどうするか、という問題)は、クドカンはうまく解決していたなと思う。ミョウガとパピコのエピソードもうまいと思った。反面、ストリートミュージシャンの設定はキャラにちょっと無理があったかも。

失踪した父親と主人公の間のエピソードは、オリジナルよりも父親の自分の子に対する愛情がかなり強く印象に残ったが、最近朝ドラの「あまちゃん」の再放送をみてて、芸能マネージャーのミズタクがアイドルの卵のアキに寄せる感情にもそれを感じて、こういうのはクドカンの作家的体質なのかもなぁ、と思った。

岡田将生と清原果耶の2人の醸し出す人柄のよさそうな雰囲気が絶品で、こうでなかったらこの作品は絶対うまくいってなかったと思う。『サマータイムマシンブルース』もそうだけど、筋がどうこうよりも、その筋を包み込んでしまうような作品世界の清々しさというのは実はファンタジーには重要なんだな、と思った。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ひゅうちゃん ペペロンチーノ[*]

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