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[コメント] これでいいのだ!! 映画★赤塚不二夫(2010/日)

生真面目な人物像をまともに描きたくない気持ちもわかるが、これじゃなんだかよくわからないんじゃないだろうか?
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「バカになれ」って赤塚不二夫が自らを追いつめているのであることはしっかり理解してもらいたいという一方で、それをまともに描いてしまうのは一種の冒涜だ、とでもいう発想がああいうドタバタシーンの挿入につながるのだろうが、それとシリアスなトーンとのバランスがとても悪い。

作品のはちゃめちゃさを生み出すために、実際にはちゃめちゃを行って、それを地道な打ち合わせを通して作品に転写していくような身を削るような行為は深刻そのものであり、これをなかなかおバカの中に描くことは難しいのだ。そこをリアルに描いて芸術家の狂気みたいな話にせず、なんとか赤塚マンガのような世界にしたかったんだろうけどうまくいってない。

それと、「バカになれ」っていうところに共鳴していっしょになって闘っていくというのは、男が男に惚れるっていう心情であって、あんまり男と女の間に発生するものではないように思う。男と女なら赤塚不二夫と奥さんの関係のように、男が女に支えられることで男が存分にバカができるという図式になってしまうのがふつうで、事実と変えて女性編集者にすることは、その図式にのっとれない以上、その編集者のキャラクターの造型に困難が発生するのだが、それを練り込んでいないため、まったくよくわからない人物になってしまった。したがって「レッツラゴン」での共闘の場面で、実際にそこにあったはずのパワーはまったく感じることができなかった。

アニメではない赤塚マンガについての情報不足と、母親への愛情や皮相的な世相のような現実的な背景の中途半端な描かれ方で、これ舞台となったこの時代を知っていない人にとってファンタジーでもなくリアルでもないなんだかよくわからない作品になっちゃったように思う。結局一番良かったのは堀北真希のふりまく笑顔と浅野忠信の(赤塚不二夫がよく見せていた)どこかさみしい笑顔だった。そこが基調となってその他のパートがそこへ向かっていければ作品として良くなったように思うけど・・・うーん難しそう。

(評価:★3)

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