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[コメント] レイクサイドマーダーケース(2004/日)

目先の目標成果しか頭にない「マネジメント・ファミリー」の狭量さを批判したいのはわかるが、はなからそういう偏見で括ろうとし過ぎ。これじゃどっちの視野が狭いんだかわからない。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







原作どおりなのかどうかは知らないが、監督はこの作品で、子供たちを、何のためらいも恐怖心もなく、ほとんど感情も揺れ動かずに殺人をしてしまう超人にしてしまった。あっさりと親たちに「子供たちの考えていることはわかりません」と言わせ、子供をモンスターとして描き、親たちの考えなど到底及ばない存在、という話にしてしまった。子供たちをモンスターにし、そのモンスターを生み出したのは他ならぬ大人たちであると。大人を批判する手段としてそうしたのだろう。

その親の、その価値観が、その子供たちを育てたのである、と言うのであればそれは批判となるだろうが、だったら一旦は彼らの考えや信条にも、少なくとも中立的な描き方をする必要があるだろう。監督は、この作品に出てくる親子を、はなからつまらない連中だ、だからまともな人間にはならないのだ、と思っているのだと思う。こういう親の子供だからモンスターになっちゃうんだ、そういう結論ありきなのだろうが、こっちは「それだけじゃならねえだろ」、という感じにしかならない。彼らなりの信念の論拠を描かず、「あいつらは偏狭だ」という見方から出発して、モンスター誕生という結を導き出そうとするからリアリティがなく、とうてい批判にはならない。

「あなたもわれわれと同じ本当の親になりませんか?」なんてセリフを親に言わせているが、こういうのは言っている本人が、相手に「自分のほうが本当なのだ」と思わせたい時に意図的に選ぶ言葉で(例えば宗教の勧誘などの時に)、自分の信念を疑っていない人は、わざわざ他人に自分が「本当」であることを断わったりしないだろう。これは、このドラマの親が言っている台詞ではなく、監督自身の考えを述べているだけだ(むろん逆説的な意味で)。

どうもこの監督は、観念先行型で、ドラマの中のリアリティを重視しない傾向を感じる。それは、冒頭、子供が蝶を踏んづけるシーンの、靴の底にこびりつく粘液の量の異常さに違和感を覚えた時にすでに感じていた。世界=観念の人なのかな、と。(<…これも偏見という。)

(評価:★2)

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