狂気と理性の差異。この映画で考えさせられたのは、このことです。

ある意味で、現代人はみんな程度の差はあれ、神経症といっていいところがある。それに、もともと気狂いという言葉は、ある一定の人間を排除するために用いられた言葉だと聞いたことがある。

刑法３９条は、それを逆手にとって、気がおかしかったから許すという法律。この法律の生み出す問題に、正面から向かいあうことでドラマが展開されます。

演出も見事、俳優も見事。でも・・・うますぎることで逆に表現されたことがわかり過ぎる印象をもちました。ある意味で、印象が薄く時代とともに消えそうな。もちろん「残る映画がいい」なんて馬鹿げた考えはありませんが。

こういう問題はどうなんでしょう？法律、裁判、といったものが根本的にもっている問題ですが、ひとつの結論はないのでは？まったく別のストーリーもできる気がしますよ。この法律が適応されなかった悲劇とか。

答えが出ない問題に、理性的に立ち向かった映画ですよね、これ。理性を信じている映画、というか。でも狂気をクローズアップするほうがテーマは深くなると思いますが・・・かってな意見です。繰り返しますが、見事な映画です。