コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 八つ墓村(1996/日)

原作は冒険物語、77年版はホラー、そしてこれは…一応は推理ものなのだろね。
ちわわ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







原作については、特に里村典子については77年版で既に長々書いた。

原作は、恋愛+冒険のファンタジー。怪奇風味はあっても、それがメインではない。

恐ろしい冒険を異性と一緒にしたら、恋も燃え上がるってもの。「吊り橋効果」ってやつ。

しかも、財宝というおまけつき。

77年版は、それを思い切ってホラー映画に改変したもので、洞窟の冒険も、 (洞窟は子宮を表すとか精神分析ファンならいうだろうが)、 ホラー的に改変され、結果小川眞由美が能面となる。

この96年版は、よくいうともう一度原作に立ち返り、 予算の範囲、2時間程度という時間の範囲で、金田一主演(原作は寺田辰弥が主人公) でまとめ直した映画、といったところ。

八つ墓村を映像化するとするなら、まず、田治見要蔵の32人殺しのシーン、 そして、鍾乳洞内の冒険、この二つがポイントとなると思う。

ところが、「鍾乳洞」が当時は予算内では十分に描けなかったのだろうな。 3つくらいのセットしかなかったと思う。(77年版は予算と時間をかけて、いろんな洞窟で 撮影したとか)。

森美也子はわざわざ押しかける村人を追い返しているし。

荒れ狂う村人がまったく不発になったが。洞窟シーンの映像化を避けたかったと しか理解できない。そういえば春代の殺害シーンも洞窟内ではないし。

肝心の推理も、犯行を簡略化して登場人物を制限した結果、 ほぼ田治見家関係者ばかり殺されており、 これでは遺産狙いかと、金田一でなくともわかるというもの。

と、残念な出来としか言えないわけだが、前半は結構丁寧で悪くなかったと思う。

先に書いたが、原作では犯人が途中で主人公の前からフェイドアウトし、 最後に犯人だったとわかるのだが、映像化するなら、犯人の途中での フェイドアウトはまずい。

これが映像化する際の最大の難点だったのだと思う。だから77年版は主人公との 恋愛という設定を作ったし、 この映画では、(設定だけは原作どおりの)里村慎太郎との恋愛をにおわせるシーンを長々入れる羽目になった。それが結局とってつけたようになってしまったか。

浅野ゆう子や宅麻伸を叩くのはちょっと気の毒に個人的には思う。あれでは誰でもしんどい。

役者は、もちろん主観ではあるが、私が実作で読んだ登場人物たちのイメージにわりと近かった。77年版のほうが人物設定の改変が目立つと思う。

辰弥、美也子、小竹 / 小梅、慎太郎あたりはイメージに近い人選。豊川の金田一も否定する気はないし…

萬田久子の春代は原作の素朴で優しいイメージとちょっと違うが、人物の設定の 変化は構わないし、それは、喜多嶋舞の典子にも言える。

典子については登場しただけでも喜ぶべきなのか?

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。