マイノリティの人々への差別心は，メディアの影響が大きいと思う。少数派故に周囲に生身の，名のある人として存在していることは（少なくともこの国においては）まだまだ稀で，それ故にメディアでの扱われ方がイコール，各自の見方，感じ方につながってしまう。今は変わってきているが，少し前までたとえば同性愛者といえば｢変態｣｢気持ち悪い｣｢性的関係のみを同性に求めている人｣というような固定された“役柄”があり，ドラマなどでそれが当然のように流されることによって，イメージだけがまるで真実のように一人歩きしていた。それは人の心にもがっちりと根をはり，｢ホモ｣と聞けば条件反射的に｢気持ち悪い｣と思い，思わなければおかしいというような世間の風潮は，こういったことに由来していると思う。

　できれば，この映画のように，そういったカテゴリーに属する人々の本当の姿を描いた作品を，もっともっと作ってほしい。実際，友人などにそういった人がいれば，まったく異常でも変態でもないことが分かるけれど，そういう機会に恵まれる人はまだ多くはないから。目からうろこが落ちるような，固定観念を矯正する映画が２１世紀には必要だと思う。