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[コメント] バトル・ロワイアルII 鎮魂歌〈レクイエム〉(2003/日)

最初の30分は涙にくれながら観てしまった。映画の出来如何ではなく、「せんそう」がひたすら「こわかった」のだろう、故監督の子供の頃の記憶にシンクロして呑まれたのだった。
uyo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







まだ子供だったのに、大人がいきなりやってきて「明日死ね」と言う。となりの友達が、ただの肉の塊に変わる。悲しみとか、憎しみとか、怒りとかなんかではなく、そうか、そのとき、きんじくんは、ただひたすら「こわかった」のだなあ、と、バスがマスコミに囲まれる所あたりから涙が出てきて仕方がなかった。

「俺は絶対に参加しない」と言って、殺される少年に、なれるものならなりたかったかもしれない、と言う憧れにも似た悔恨。元ネタの「プライベートライアン」なんかを、むしろ凌駕したひたすらの恐怖と戦争の不条理を感じさせる上陸シーン。

後半のテキストでは、教育テレビの「中学生日記」か「真剣十代しゃべり場」か?と言った印象の、作り手(脚本&監督)の手(頭脳)に余る「答えのない問い」を冗漫に稚拙に語りかける。実際にこの世に戦争がなくなっていない限り、浅薄で稚拙であるほうがリアルなのだ。戦争を否定する作品の中で、決めゼリフに「メリークリスマス」等と言ってしまう頭の悪さ加減。その「クリス」のおかげで、今でも地球上の至る所で殺戮が繰り返されていると言うのに。

職人的にクオリティが極めて高い、戦闘シーンの映像とのひどいアンバランスが、戦争の馬鹿みたいな愚かしさを適確に表現している。

戦争映画の名作は、戦争をなくす事は出来ない。子供たちにこの稚拙なテキストを考えるきっかけにして、本当の現実に一歩近づいて欲しい。

けんたくんには、これから先も「かんとく」を続けるつもりなら、もっと本をたくさん読んで欲しい。なつやすみのしゅくだいだ。

(評価:★5)

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