[コメント] ラッチョ・ドローム(1993/仏)
座席はいらないとスクリーンの前で痛切に思った、稀有な映画鑑賞体験。
一緒に歌ったり踊ったり手拍子したり笑ったり泣いたり怒ったりしながら、その感情のリズムを身体に刻みつけたい。
そして切々と語られる宿命へのあらがいは、膝を抱え仰ぎぎみに、全神経を研ぎ澄まして静かに受けとめたい。
この作品はまぎれもなく計算された<つくられた映画>だと思う。シーンによっては構成された物語も存在するし、それぞれの場面には選び抜かれた出演者もいる。そもそも監督自身、これはドキュメンタリーではないと公言している。
が、圧倒的な素の存在感と大地や町のエネルギーゆえに、軽々と<つくりもの>の枠を越え、真に迫る<ドキュメンタリー>となってしまった。
もはやそんなカテゴリーさえ馬鹿らしい。これは<映画>だ、そして言わずもがな<音楽>だ。
ただただ素晴らしいの一言に尽きる。
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