エイリアンのクローンとして政府から狙われる男のアクション映画｡『ブレード･ランナー』『トータル･リコール』などのフィリップ･Ｋ･ディック原作の｢にせもの｣の映画化｡

最初の簡単な説明で舞台設定を終わらせている割には､映画全体として無駄なシーンが多い｡『トータル･リコール』のような感じの作品を目指したのか､アクション･シーンはかなり多く､そこそこ迫力ある演出で見せてくれているが､特にいなくても成立するような賞金稼ぎケールを登場させて､彼に大半のアクションをやらせているところは感心できない｡その割に終盤の重要な鍵となるスペンサーの妻マヤの出番が少ないので､ラストの展開を見せられても､あまり盛り上がらない｡

ラストのオチは『トータル･リコール』同様ブラックなオチで､せっかくのアクション映画の興奮も肩すかしを食らってしまったような感じ｡

スペンサーは普通の科学者なのに銃の扱いや格闘に慣れているのは不自然｡それと､クローンの人間が自爆する基準が今ひとつはっきりしないのも不満｡基準が曖昧なら､何でもありということになり､物語としての面白味がなくなってしまう｡