[コメント] 太陽の誘い(1998/スウェーデン)
映画を見終った人むけのレビューです。
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人生の太陽を求めた老いたように見える少年オロフ、隣に真の太陽を求めた円熟と影を持つエレン、まだ太陽の輪郭が見えないが必死に太陽を探すエリック。太陽が3つの種類ではあるが、底辺は同じ光を成す。
オロフとエレン、エリックの三人の登場人物だけで出会いと分かれ、そして始まりと終わりと始まりの連続を丹念に描いたので、本当に驚くほどに作品の内部に誘われてしまった。また、それまでの関係を清算することを恐れずに、立ち向かい前向きに生きた人がそこにいて、そこに人間が生きる世界の可能性を感じ取ることが出来た。
エンディング間近、オロフは字が読めないからエレンの置き手紙をエリックに読んでもらうが、それをエリックが内容を改ざんしてしまう。だけれど、それは結局はエリックの保身ではあるのだが、その改ざん行為はオロフとの別れを正当化しようとした証拠であり、エリックの親心と言えないだろうか。
エリックは、オロフの優しさを煩わしくも友情を感じていたが、それが自分以外にも利用してくる人の恐怖を感じ取ってほしかったのだと思う。それはまた、オロフの自信を試す、人を信じる、愛を信じる試練をも与えた。エリックの手紙の改ざん行為は見事オロフにとってプラスに作用し続けた。
エレンとの愛を信じて待ち続けた彼の心境、エレンに見いだされた自信は、曇り続けた天気を耐える子供であり太陽を愛する大人の心境を抱いていたに違いない。そして彼はまた、エリックは太陽に憧れを抱き続け、眩いばかりの先を目指し去り行くのだろうと思えたのだろうと思わせる。彼の瞳に憎しみはなく、優しさに満ち満ちていた。
2003/1/17
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