[コメント] 夕陽のギャングたち(1971/伊)
前半3分の1にもあたる50分近くゆったりと牧歌的な流れに拍子抜けする。退屈かって?それが驚く。レオーネは50分かけて陽気な盗賊とクールな革命家を俺の脳内に染み込ませていったのだ。アトの100分もの長尺はもう、こびりついて心から離れない。
農村のラブドラマかと思われるようなアノ音楽も相まってか、牧歌的というかのんびりとした雰囲気が作品を包み込む。
だが、映像は鮮烈で熾烈で凄惨だ。
台詞は少なく、切れ味鋭くストレートだ。
つまり、通常ならばコノ音楽は本作には絶対に合っている訳がないのだ。ミスマッチ。
だが、ここでシネスケ級の映画ファンは逆に酔ってしまう。ここのコメント群もコノモリコーネの音楽に触れているものが多い。皆、酔ったんだなコレに・・・
思えば私の場合、とても緊張を強いられる状況で、気がつくと頭の中で童謡だったりお気軽な歌が巡り廻っているってな事がよくある。緊張感の反動なのか、無意識下の反応なのか定かではないが。
本作のまるで気の抜けたような音楽と凄惨な画の対比。無さそうでいて、実はあまりにリアルな組み合わせだったりするんじゃないかと独り頷いた次第である。
この楽しい150分もの長尺、絶対に私の脳内から消え去る事はないだろう。こびりついた珠玉の画と音と台詞たち。
私はアノ貨車の中で無言で見つめあう無骨な二人の男のシーンを決してわすれないだろう。だってスタイガーの頭に落ちてくる鳥の糞なんか、あまりにも素晴らしいじゃないか!
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