[コメント] フランダースの犬(1997/日)
ツボなんです。
誠実で純粋な少年を貶める、オトナの汚い猜疑心や偏見。それでも屈折せずに、前向きな姿勢で生きようとする少年の純情。かといって無敵な精神力の持ち主ではなく、人並みに弱い少年の心が涙を誘う。そして、パトラッシュとお爺さん。この二者との頑なな結びつき、互いが相手を思う精一杯な愛情だけが、その弱い心を助けているのだ。
「いつも傍にいるから」
これが、この物語の基本だろう。人間は一人では弱い存在だが、愛する人や信頼してくれる人間が傍にいてくれるだけで、強くなれるもの。主人公を少年とし、愛する対象に老人と動物をもってくることで、その心情をシンプルに、かつ効果的に表現している。
原作では、隣人愛であるとか、拠りどころであるとか、キリスト教的な宗教心がさらに色濃く反映されている。映像化するに際し、そういった少々クドめな部分がうまく抑えられたことで、素直に感動できる作品に仕上がったのだろう。素朴なTV作品が劇場化され、ここまで完成度の高い作品に仕上ったことは、何よりも観終わったあとの涙と余韻が証明してくれている。
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