[コメント] 仮面 ペルソナ(1966/スウェーデン)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
ベルイマン映画はどれもこれも解釈が多様で難しいのですが、中でもこの映画は群を抜いて難解。
でもどこかで「ベルイマンの映画論」というヒントが書かれていたのを読んだので、俄然理解が出来るような気がします。 これ、映画なんですよ。いや、もちろん映画なんだけどさ。これが、ベルイマンの考える「映画」というものなのです。 メタフィクションならぬメタ映画なのです。
でも、トリュフォーの『アメリカの夜』的な映画製作の舞台裏を描いたものとは違う。 むしろ「映画」そのものを描いている。フェリーニ『8 1/2』が近いのかな。 ベルイマンは『鏡の中にある如く』でも、ストーリーとは直接関係ない「芸術論」を語ります。それはまるで筒井康隆「文学部唯野教授」。 本作はどちらかというとメタフィクションとして「朝のガスパール」に近い気がします(<なぜ例えが筒井康隆ばかりなんだ?)。
たしかに、メタ映画だということの伝え方が難解なのですが、言われてみれば冒頭からずっと「フィルムに焼き付けたものですよ」って描写している。 ゴダールの『軽蔑』でカメラを観客に向ける冒頭と一緒(そうか?)。
それを踏まえた上で、ベルイマンの考える「映画」とは何ぞや?を理解しようとすると、これがまた難しい。 少なくとも「言葉」ではないらしい。 「仮面」を着けて誰かの人生に入り込むことらしい。 登場人物の怒りでフィルムが外れて燃えますが、映像は時に現実にも影響を及ぼし得るということかもしれません。
いや、分からん。分からんからベルイマンは面白い。 そもそも「言葉」で解釈しようとするのが誤りなのかもしれない。
あー、ウディ・アレン『私の中のもうひとりの私』が観たくなった。
(20.11.03 早稲田松竹にて鑑賞)
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。