[コメント] ポセイドン・アドベンチャー(1972/米)
パニック映画のはしり。その後同様の映画でオールスターキャストを揃えてくる手法のはしりでもある。
20世紀フォックスは『トラ・トラ・トラ!』を作り、ハリウッド人気が斜陽となりつつあることを大作映画を作ることで一気に打破しようとしていた。黒澤事件も思えば多くの金と利害渦巻く中で発生したことであったが、とりあえず大ヒット。しかし、日本ではそれほどヒットしなかった。
そこで更に大作を作ることでフォックスの名誉を保ち、ハリウッド映画の地位を世界的に絶対的なものにしようとして作られたのが、この『ポセイドン・アドベンチャー』だったようだ。
映画は生き残りをかけるために必死になって船底へ逃げようとする乗客のドラマで、とかく限定された密室ドラマのようになりがちなところだが、ここではダイナミックに船の中を表現し、大スターの共演も得て、いわゆる大作と呼ぶに相応しい作品に仕上がった。
この類の大作は、なかなか作者の意思が強くないと作ることができない。この作品を導いたのはアーウィン・アレンであろう。プロデューサーとして『タワーリング・インフェルノ』も作ったが、もともとテレビのSFドラマなどを作っていた人で、フォックスが白羽の矢をたてた。
映画監督にとっては、会社の企画を映画化するのに、このような大作を手がけるのを嫌がる場合が多い。アーウィン・アレンは大作監督に相応しいロナルド・ニームを抜擢した。彼は元々撮影監督で脚本も書くなどマルチな映画人であったが、デヴィッド・リーンの映画に協力していて、その才能を見いだされたようだ。
映画は人間ドラマとして仕上がっているが、特撮を存分に使い、莫大なセットに巨額の費用を投じて作ったフォックス(ザナック)の執念そのものという感じだ。
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