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[コメント] 透視する女(1999/日)

デジタルビデオで簡単に「映画」が作れる。それは素晴らしい事だが諸刃の剣でもある。簡単であるが故に映画自身も「容易」になってしまのは困る。
ina

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この映画は主人公が透視能力を持っていて、その能力ゆえに自分に対する男たちの淫靡な妄想までわかってしまう。その設定はなかなか面白くて物語が広がっていく可能性があったがあまりにも通俗的に終わってしまった。

確かに低予算ぽい映画でいろいろできなかったかもしれないが、かえって低予算、デジタルビデオという枠の中でこそもっと「自由」な映画が撮れたかもしれない。

この映画はすごく「可能性」があった作品だと思います。

主演の安原麗子のナレーションの声の艶っぽさ。この「声」でもっと全編主人公の心を表現して欲しかった。この「声」だけですごいエロスを表現できたのに。

助演の美崎涼香の存在感。彼女は本当にすばらしい。OL風の衣装はイマイチだが彼女の子供っぽい顔と、肩のはった背中がアンバランスで良かった。彼女とのからみがもっとあればもっとエロスに厚みができたと思います。

「透視能力」。男が女性を透視するのは普通だが、女性が男の心を透視する設定はかなり面白い。人は社会では隠しているが心の奥底にエロスがあってそれを見てしまう彼女の困惑がとてもエロスだ。だがその大事な設定が途中からエロスからただのサスペンスになってしまった。ここの所はもっとひねって欲しかった。

一番「可能性」があるのは、デジタルビデオで撮影している事です。 低予算で少人数で機動性も高くもっとも「自由」を獲得できる武器なのにこの映画では「お金がかからない」ということだけでしか使われなかった。 あとデジタルビデオならではの「リアリティー」がでるはずなのにこの作品はそれも放棄している。「リアル」と「エロス」が合わさればすごいものになったのに。

「可能性」はたくさんあるのに全部だめだった作品です。

(評価:★1)

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