ビデオ映像を35ミリフィルムにブロウアップした作品。

故郷浜松から北海道最北端の礼文島、スコトン岬までの2328キロを自転車で走破、たった一人Ｈｉ8を片手に雪道をひたすら走る。8ミリフィルムの作品で数々の受賞経験がある監督が放つ映像は、ビデオの荒い画像においても独特の美しさを持つ。圧巻は、脇でトラックが猛スピードで通りすぎる氷の張った道路を走る、片手運転の自転車で撮影された映像。見ているだけでも恐怖が伝わる。孤独や寒さに翻弄される監督の姿は、時に底抜けに明るく、時にどん底の悲しみを見せる。一人ということで、ロングショットなどは自分でカメラを設置してもとの位置まで戻って撮影してるんだろうな、などと思って見ているとちょっと笑えたりもするが、そういうことを忘れさせる程、映像に迫力がある。難をいえば、ラストに物足りなさを感じるが、ドキュメントらしい終わり方かもしれない。ま、テレビでやってるようなお手盛りの感動を期待する方が悪いのかな。

平野勝之の現職業はAV監督であり、制作もV&RというAV製作会社だけれども、女の裸やカラミは一切ありません。ちなみに、監督は元漫画家でもあるので、映画で使われる絵日記も可愛いです。