[コメント] にっぽん三銃士 おさらば東京の巻(1972/日)
なんてメチャクチャな!そして贅沢な! だって『江分利』が三人もいるんですよ!
その『江分利』を演じた小林桂樹の名人芸、ショーケンよりも水谷豊よりも時代の空気に乗る岡田裕介の風情、安川肇の本名で『月曜日のユカ』を書いたミッキー安川さんと主演だった加賀さんの絡み、バーで働くオカマ二瓶正也の三文芝居、ミッキーの奥さん稲野和子の雌犬みたいな発情振り、常田富士男のありえないロンゲ、岸田森十八番の子悪党っぷり・・・どれも最高に可笑しく、そして愛らしい。これぞ喜八節だ。いや”喜八流”の真骨頂だ。
サム・クックの『ワンダフル・ワールド』を捩ったような主題曲、サイケな導入曲、頻繁に挿入される古き良き時代の演歌、小林の春歌、岡田が弾き語るアーロ・ガスリー風のカントリー・フォークと、音楽もどれも素晴らしく、喜八監督の類稀なセンスと、佐藤勝の天才性を再確認出来る。
バー脱走を境とする、前半の閉塞感(狭いバー内は勿論、回想シーンに於いても意識的に動性が排除されている)、後半の躍動感(というか彷徨!各人物たちが常に走り移動し続ける!)の対比もお見事!
この映画がこれほど観られていないとは理解に苦しむ。時代の烙印を押され倉庫に追いやられたこの傑作コメディに、今からでも遅くは無い、もっと光を!
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