パッケージ裏にはドナルド・プリーゼンスと書いてあるがドナルド・プレザンスの方が馴染みがいい。

　この作品は『二枚のドガの絵』と同じぐらい完成度が高い。倒叙ミステリの犯人は、余計な事を刑事に話しすぎる。刑事は犯人の話の綻びを見つけて、追求していくのだから余計な事は話さない方が良いのだ。

　この作品のエイドリアンドナルド・プレザンスも「デカンタだけは絶対人にやらせないんです」とコロンボに重要な手がかりを与えてしまう。また弟を事故で死んだ事に見せかけようとして、逆に天候の矛盾でコロンボに不審感を持たせてしまう。

　この作品の面白さは、エイドリアンがあまりにも舌が肥えていたために僅かなワインの酸化を見抜いてしまった皮肉にある。弟を事故死に見せかけた海に酸化したワインを捨てるという残酷な結果…。

　　最後にコロンボと車中で飲む『別れのワイン』「これは最高のデザートワインですよ」

　いい話だとは思うけど日本だったら「現職刑事が捜査中に飲酒運転で減俸処分に」という事になるんだろうなぁ。