[コメント] ディープエンド・オブ・オーシャン(1999/米)
いろいろ考えさせられた作品。登場する大人たちはそれぞれ自分勝手に見えたが、お兄ちゃんの気持ちを思うとたまらない。
前半と後半で大きく違った話が展開されていますが、私は後半の方がしっくり来ました。
前半がやや苦手な理由は、子供を失くして落ち込む母親像が安易に見えたから。私は親になった経験はまだありませんが、母親というのはもっと強いものではないかと思います。私事ですが、この映画を見る1ヶ月程前、従妹のひとりが幼い次男を亡くし、励ましに行ったことがありました。まだ20代のその従妹の第一声は、「この子(長男)がいるから。」 年下の彼女が急に大きく見えました。そのようなことがあったためか、この映画のミシェル・ファイファー演じる母親の、次男失踪後の目の前にいる2人の子供たちまで見えなくなってしまっているような取り乱し様は、私にはとても3人の子供を産んだ母親の姿には思えなかったので、前半では多少いらいらする場面もありました。
それに比べ、失踪した子供の兄の抑えた心理描写は特筆すべきものがあったと思います。一番いたわられるべき、失踪時に弟と一緒にいた兄が、無神経な大人たちの気持ちを健気に思いやったり、混乱したりしている様子に涙しました。後半部の再会してからの展開も、血のつながりについて改めて考えさせられる有意義なものでした。完成度やラストの扱いにはいろいろご意見もあるようですが、普段あまり考えないようなことをふと考えてみるためにお薦めしたい1本です。
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