[コメント] 戦国自衛隊(1979/日)
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「自衛隊が登場する映画」と言われて想いつく作品は、たいていの場合、怪獣映画かコレである。現職なので一度は観なけりゃ、と思って鑑賞した。では二言三言。
まずタイムスリップしてしまうのが大部隊ではなく一個小隊(20人程度。しかし現実にはもっと少ない場合がある)、装備は戦車、哨戒ヘリ、装甲車、トラック他。これっぽっちで戦国の時代を戦い抜かねばならないのだ。いくら自衛隊とて実戦は一度も無いが……さすがに現代兵器、10や20の足軽を一網打尽。しかし伊庭小隊も機関銃や手榴弾の猛攻で威勢は良かったが、何千という足軽や騎馬隊相手に無敵でいられるのはさすがに無理。最後の最後まで、弾薬も尽きてヘリも戦車も動かなくなるまで戦い抜くさまは見応え十分だった。
ではあるが……最後の寺、原作はコミックス版の方は読んでいたので「伊庭=信長」というポジションは知っていたが、映画ではその辺が希薄であった。小隊がタイムスリップして長尾影虎と出会って、一緒に戦ったけど結局危険分子扱いされて……という感じで、千葉真一の言う「俺は天下を取る」の意味合いが深くない。そういえば影虎が家臣を「猿!」と呼んでいたが、これもそれだけで終わっている。さすがに映画の尺の中で、原作全てを表現するのは出来なかったようである。あと隊員一人の恋人のエピソードはどうかと思う。現代への想いがあるのは分かるが、戦国時代の話とあまりシンクロしてないのが気になった。
それにしてもさすが角川映画、火器に関しての考証がまるでなってない(笑)。64式小銃は確かに連発機能はあるが弾倉は20発までなので、連発なんかしたら即弾切れである。しかも重い(約4.3kg)。あれだけ撃ってれば弾詰まりが起きそうなものだが、よほど大当たりの銃なのかそんなことがない(現実の自衛隊には当然ハズレ銃というのも存在する)。それともあれは全部62式機関銃だったのだろうか?だとしたらますます大変だ。62式はトンデモない欠陥銃で、給弾不良するならまだしも、引き金から手を離してもまだ弾が出ることがあるとか……あ、だからあんな風になったのか!(笑)
まあおそらく角川は、「戦国の兵士や騎馬軍団」と「現代兵器」が一緒に収まってたり、戦ったりする場面を実写で撮りたかったんでしょうな。多分それだけなんだと思います。大雑把だなあ、ホントに。
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