[コメント] 地獄の黙示録(1979/米)
公開当時(1979年)のバージョンを数週間前にLDで鑑賞し、今回「特別完全版」 を劇場で見てきた。確かにあらたに加えられたシーンによって「ストーリー」はわかりやすく なった。
川を遡るのと同時に我々は「心の闇」のジャングルに深く深く誘われていく。 全てが「白昼夢」のようだ。それを追体験する自分がいる。 今回のプランテーションのシーンやカーツの昼間のシーンでより「反戦」のメッセージ は増したと思う。カーツのミステリアスさは薄まってしまった感があるが気にする ほどのものではない。 あとエンディングはLDで観た79年バージョンの方が好きだ。 燃え上がるジャングルのながまわし。 何故削ってしまったのだろう。 ドアーズの「ジ・エンド」でいきなり始まった映画はエンディングする。 そしてあの燃え上がるシーンで我々の中で物語ははじまりそして映画は 終局するという印象を持ってたのに残念。 というかまた自分の中で新しい「地獄の黙示録」をリコンスラクトするしかないのである。
しかし、私が最終的に求めているのは「作品性」や「ストーリー性」では なく、「すべてのネタ」である事に気が付く。 当時も試写会では何バージョンもあったわけで、「特別完全版」が最終的な形である などとは考えられない。∞の組み合わせがあっていいではないか。 DJが音楽をリミックスしたり、VJが映像をリミックスするのとはまた話が違うのだが。
「約440時間」のまわされた全てのフィルムをみたい。
「全てのフィルム」はおそらく20世紀の、あるいは人類の財産であるように思えてきたからだ。 商業的には使えないとこにこそ「価値」があったりすると思う。
こう極端な考えに陥るくらい今回の「特別完全版」もインパクトがあった。 戦争映画、サスペンスを通り越して病める現代社会の人間の真相が伝わってきた。
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