[コメント] ザ・キラー(2023/米)
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『KILLERS』ってオムニバス映画の一編で押井守が監督している「.50 Woman(ハーフウーマン)」ってのがあるんです。延々と標的を待つ殺し屋の話。それと同じ。違いは、本作のストイックな殺し屋はタンパク質を摂取するためにバンズ抜きのマクドナルドを食しますが、押井の方はコンビニのおにぎりや菓子パンを延々食べる話(だったと思う)。あと、押井の方は標的の「悪徳アニメプロデューサー」鈴木敏夫を見事に射殺する(笑)。
既に書かれていますけど、劇中で主人公が好んで聞く音楽はザ・スミス。私もすっかり忘れていたんですが、『(500)日のサマー』で主人公の男女が出会うきっかけとなった曲もザ・スミスだったんですよね。「モリッシー好きの殺し屋」ってなんだか魅力的だなあ。これがメタルだとマッチョ過ぎちゃうんだよなあ。
私は以前から「フィンチャーはヒッチコックの進化系」と言っているんですが、本作の最初のパートは『裏窓』の本歌取り。新手の『裏窓』。そしてこの長く退屈な「静」のパートから一転「動」へと見事に転換した後は、意外な『北北西に進路を取れ』。そう思ったら、ティルダ綿棒スウィントンがエヴァ・マリー・セイントに見えてくるでしょ?見えてこない?ああ、そうですか。
「面白かったー」以外にあまり感想がないのですが、殺し屋の男が頻繁に心拍数を計測しますね。自身の冷静さを保つためなのでしょうが、私は、「自分はまだ生きている」ことを彼が無意識に確認しているのではないかと感じたのです。そういう小道具の使い方もヒッチコックの進化系。
(2023.11.04 ヒューマントラストシネマ渋谷にて鑑賞)
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