[コメント] 不能犯(2017/日)
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これは連載マンガで、そもそもが宇相吹を狂言回しとした、殺しの依頼を巡るさまざまな人間ドラマの数々を見せる趣向だからなのだろう。
これは監督の資質なのかもだが、ホラーエンタメ系に振りすぎてリアリティが軽視されている感じが残念。最たるは沢尻エリカ演じる多田刑事で、演技力の問題も大きいが全然タフな刑事に見えない。宇相吹と対峙する場面で、部下を助けたいなら俺を刃物で刺せ、と迫られる場面で「そんなのできない!」といって刃物を投げ捨てるシーンや、川端からどっちの携帯電話を選ぶかを迫られ、やはりどっちも選べないとばかりに、2つの携帯を順にへし折るシーンがひどい。リハーサルで段取りの確認をしているだけのようにしか見えない。川端が公衆電話の前で焼け死んでいるのを看護師が見つけた際に、ギャーと悲鳴をあげるのだが、病院で爆発が起きているんだから、むしろ看護師はそういう人がいないかどうか心構えているのだから火傷の怪我人を見つけてこんなバカなリアクションはない。こういう人間の心理が出てしまう場面を、いつものホラー風に軽く処理しちゃってる感じがする。作品の構成上、悪魔の選択を迫られる人間の苦悩というのがかなり大きなテーマになっているのに、なんかあまり描く気がないという感じだった。
反面で登場人物が憎悪や怒りにかられキレる場面、殺害の場面なんかは良かったと思う。つまり作劇上、好き嫌いにかかわらず描くべきことになっている主題と、監督の相性の問題なのだろう。
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