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[コメント] ホットギミック ガールミーツボーイ(2019/日)

山戸結希は大林宣彦だ!
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







溺れるナイフ』が私の山戸結希初体験だった。 「荒削りだけどこの監督の今後に期待したい」と評して以来、彼女の新作を心待ちにしていた。いやまあ『21世紀の女の子』は見逃したんだけど。 なんだか胸がざわついた。何か特殊な匂いを嗅ぎつけていたんだ。

そして、その予感は的中した。

正直言って、映画としての出来はヒドいと思う。 申し訳ないけど、苦笑しながら観ていた。ココアにダイブする間宮祥太朗なんか爆笑した。 もはや話の整合性や辻褄などというストーリーテリングなんかどうでもよくて、ただただ描きたい何かに向かって突進する。 そのギリギリ加減(突き抜け加減)は、元祖こじらせ男子=大林宣彦のそれによく似ている。 そう考えてみると、カットの割り方、音楽の付け方、おそらく原作のイジり方、どれもこれも大林宣彦に似ている気がしてきた。 そうか!山戸結希はこじらせ女子なんだ!

だけど私はこの映画がすげー好きだ。 星5か星1か迷いに迷った。傑作なんだか超駄作なんだか分からない。たぶん“珍作”なんだと思う。

この感覚は私の中で、大林宣彦『日本殉情伝 おかしなふたり ものくるほしきひとびとの群』に似ている。 たぶん誰も分からないし誰に分かってもらう必要もない。自分だけに分かる、自分だけに囁いてくれる映画。 この映画も同じなのだ。誰かのためにそっと囁いている映画。 『ガールミーツボーイ』と銘打ってるだけあって、少女に向けて囁いている映画に違いない。

だけど俺には、何を囁いているか分からない。 少女に向けて何か囁いていることは分かる。だけどモスキート音のように何を囁いているのか聞こえない。 俺が少女じゃないからだ。

(19.07.06 新宿バルト9にて鑑賞)

(評価:★3)

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