[コメント] アデルの恋の物語(1975/仏)
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私、ゴダール嫌いのトリュフォー好きなんですが、観てなかったんですよね。アントワーヌ・ドワネル物は全部観てんのにアデル観てねーのかよって話ですよ、我ながら。あ!『逃げ去る恋』なんて2度も観てるよ。馬鹿じゃねーの?
というわけで、トリュフォー生誕90周年映画祭とやらで初鑑賞。
私、トリュフォー好きと言いながら、あまり褒めたことありません。「映画撮るの下手だなあ」と観るたびに思う。この映画の最初の上陸(入国審査?)シーンなんか意味分かんないもん。でもねえ、嫌じゃない。下手だけど味がある……ような気がする。
途中でアデルが「覗き見」するシーンがあって、急に「ヒッチコック風味」になるんです。さらに、トリュフォー自身がカメオ出演までして「ヒッチコック・パロディー」の刻印をはっきりと残している。もしかするとこの作品は「ヒッチコック・テイストで時代劇やってみよー」というチャレンジだったのかもしれません。あるいは、トリュフォー的『レベッカ』。たぶん、死んだ姉を亡き妻レベッカに見立てたサスペンス。サスペンス?
もしかするとフランス人なら「アデル・ユーゴーね、はいはい」と皆さん御存知の案件なのかもしれませんが、全然知らなかったもんですから、映画終わった時に思わず「長生きしたんかい!」って突っ込んじゃった。「珍作」的な楽しみ方をしちゃったんですよね。申し訳ない。まあ、「実話だ」って言われたら仕方がないんだけど、説得力がない。腑に落ちないというか飲み込めないというか。「めんどくせー女だな」というのが正直な感想。
これたぶん、製作当時だったら「悲恋物語」として、だいぶ違う印象で受け止めたんでしょうね。ストーカー規制法も無かったし。観るのが遅すぎた。
ただ、ナレーションベースで表現したくなるアデルの心情を、「手紙を書く」という行為で「独白」に置き換えた点はさすがだなと思います。実際はどれだけ書き残したのか知りませんが、文豪の娘ということが説得力を持つ。つまり「書く」ことが彼女の感情の発露なのです。
(2022.06.26 角川シネマ有楽町にて鑑賞)
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