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[コメント] パレード(2010/日)

政治家みたいな話。100/100
たろ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







現代の若者は手紙もお歳暮も送らなければ、隣人に貰うカレーにすら毒入りを疑う時代だ。しかし、それは助け合って生活する必要性がなくなった戦後の人間だからであるし、特に東京という出身地バラバラの人間の集合体では顕著であるかと。人がたくさんいる都会の閉塞感は上手く表現できていたけど内容は予想の枠を出ない。それでも面白いのは何故か?

それは触らぬ神に祟り無しという言葉があるように、保身の危険性に突っ込んでいるからだと思う。皆サトルへの疑惑をスルーし、直樹は自身が通り魔ゆえサトルの不法侵入を通報しない(警察に近づかない)。『クラッシュ』とは逆で、クラッシュを避けて安泰を得る。つまり問題を先送りにして平和を演出するだけの政治家のような話でもある。当事者間で問題無くても第三者から見てるとそれってヤバイよって思う。でも、上部だけの付き合いもないと生きていけないよね…誰にも経験のあるテーマだろうからこれだけ面白いのかと思う。

小出→貫地谷→香里奈→藤原の流れは意地悪であるが正解かと思う。キャスト全員が役者人生賭けるぐらいの良い演技をしていて、順番に演技力と存在感が増してくる。特に香里奈と藤原はズバ抜けてて前者2人が可愛そうになるくらい。そこに林遣都の怪しさ全開の少年まで出てくるもんだから嬉しい。誰一人浮いてるキャストがおらず、オリジナルスコアもビンビンで邦画の復活を意識したほど。こんな邦画ばかりだったらいいのになって思っちゃう。

悪気なく騙し騙しで進んでいくルームシェア生活は、藤原竜也の雄叫びで両者(藤原&視聴者)のボルテージがマックスまで盛り上がり、妄想か現実かのラストで締める。さて、あの後は厄介事を嫌う彼らは2人が何故一緒に帰ってきたか問い詰めず伊豆へと旅行に行ったのでしょう。心に何かを抱えながら。彼らがそれでいいなら…と思ったら、犯罪を黙殺した視聴者もヤバイってことだね。

(評価:★5)

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