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[コメント] (500)日のサマー(2009/米)

採点に迷いました。途中挿入されるフランス映画のようなモチーフ。あの部分だけで5点あげたいぐらい。でも全体としてのまとまりには欠ける。(2011/8/14)
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







あのクソ女め。

で始まるこの映画。この始まりであるからこそ、全編を何とか見ることができた。

というのは、男女の単なる500日のエピソード、というだけであれば、この映画は成立しない。

男性の目から見たクソ女、というある意味自虐的な始まりだからこそ成り立つ映画だ。

しかし、残念なのは、映画全体がいかにも冗漫で、もうひとつ食い込んだ何かに欠ける。

ほかのコメンテーターが書いていた通り、見方を変えると、この映画はウディ・アレンタッチなのだ。

しかしウディ・アレンとの大きな違いは、スパイラルに陥りながらも、そのぐじゃぐじゃの世界観を直視しようとしていない。いかにも軽い。

軽いのが現実であり現代的であるとするならば、どこかに響くメッセージのひとつぐらいあってもよさそうな気がする。

但し、途中モノクロ映画で幻想の世界に入る。

この部分だけは高く評価できる。

飛躍しているが、このモノクロ部分の表現力は欧州的でこの映画とは相反する。

ウディ・アレンが『インテリア』でイングマール・ベルイマンの世界を超越しようと試みた世界観が重なる。

それはしかしもっと混沌としたもの。フェデリコ・フェリーニのような突き放した世界と、ロベール・ブレッソンのような哲学的なものが折り合うような世界。

まさかそこまで考えて撮ってはいないだろうが、あの部分だけは輝いていたと思う。

役者ではクロエ・モレッツがいい。彼女は『キック・アス』でも見事な演技だったが、この映画でも大人っぽさが際立っている。

最後のシーンはいい。

サマーからオータムへ。

季節と恋の移ろいを示す映画であることを暗示している。

(評価:★3)

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