重さや暗さ一色になりそうな題材を、笑いも含めて非常に上手く構成されていて、見やすい映画になっていると思う。

しかし、僕自身が日本の葬式というもの自体に大きく疑問を持っていることで、それに付随する問題である「納棺」ということを主題として見るには無理があった。

気になったのは、細かく描かれるのは、比較的綺麗な状態で亡くなり、きちんと人が集まる葬式を行っているケースについてのみであること。おそらく死後数日経ったであろう遺体は、運ぶ時の匂いについてしか描かれず、身寄りのない状態でなくなった主人公の父に関しては、息子という立場での作業であった。結局、綺麗な面しか描いてないような気がする。

そして、僕は話題性でこの映画を見たが、そうでなければ絶対に見なかった。そういう人は他にもいっぱいいるでしょう。いくらよく出来ていたとしても、予備知識だけで見たいと思わせることに気を配っていない。映画はテレビのように軽い気持ちで見てもらえるものではないのだと思う。