最初はぜんぜん怖くなかった。正直言って、この手のものを見慣れているからかもしれないけれど、いきなり人がたくさん死んでいっても全く怖くない。結局、量じゃないんだろう。「一人の死は悲劇だが、100万人の死は単なる統計に過ぎない」じゃないけれど、さすがにそこは意識的に作られていて、だんだんと死ぬ人数が少なくなっていく毎に怖さが増していく。やっぱり、キャラ付けされているか、持って行き方が重要なんだと実感。

あと、霊的なもの、神的なものを感じさせながら、自然現象ともとれる設定がうまく思考を狂わせていたのだと思った。わけの分からない状況に混乱しがちだけど、主人公が原因・結果の因果を忘れないで正解を導きだす姿は、ミステリーよりも見応えがある。でも、それは最後にはひっくり返されてしまう。ラストの歩み寄る姿は素直に感動した。

結局、何が起こっていたのかだが、人口密集を避け、飢餓に貧する姿が啓示しているものは明らかだ。数学者のねずみ算の比喩は、危機の結果を表しているのではなく、危機の原因を示してる。それは今、起こりつつある。