[コメント] 全然大丈夫(2007/日)
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むしろ全然大丈夫じゃないのは蟹江敬三演じる父親やホームレスの人たちじゃないかと私は思うんだけど、そこら辺は色んな方向にアッサリ大丈夫になっちゃったりしてよく分からん。大丈夫じゃなく描かれる主人公たちは30歳目前という、長い目で見ればまだまだ若い年代。個人的には子供みたいな事やっててもまだ許される年じゃないだろうかと思う。しかもそれぞれ程度は違えど、ちゃんと労働はしているんだもん。趣味や夢で好きな事やっててもまだ許されるだろ。と私は思う。無職であんな事やってたらそりゃ困りもんだけどさ。
それよりも私は、なんで田中直樹が演じた男が顔に傷を負っていなきゃいけなかったのか。それが全く分かりませんでした。心や体に傷を負った者たちっていう設定なのかも知れないけれども、あの顔の傷については、劇中何一つ触れられる事がありませんでした。照男(荒川良々)の姪っ子が彼の顔を見た時、何かアクションが起こるかと思って少しドキドキしたんですが、そういう描写もなかった。唯一、あかりが彼を探している時に出会った少女だけが「顔の赤い人?」という風に表現する。そもそもあかりが彼の特徴をくどくど言っている時「顔に傷があって…」と言ったって何もおかしくないと思うんだけど。触れてはいけない気がするのは確かだけどね。でもエレベーターのボタンで指を骨折する人を嫌悪の目で見る人間がいて、顔に傷跡のある人に対し、何かしらの反応を起こす人間が皆無ってのはどういう意図なんだろ。精神的な事なら笑いに繋げる事は出来ても、身体的な事を笑いに繋げる事は出来ないって事なのだろうか。だとしたら何故彼の存在が必要だったのか。そこら辺、監督の意図するところが不明瞭で、少し気持ち悪い感じがしました。
そもそも顔に傷があろうが、徹底的に不器用だろうが、八方美人だろうが、ズルかろうが、ブサイクだろうが、何か問題あるか?普通に生活出来ない状況になってホームレスになったり、意味も分からず不安になったりする方がよっぽど問題だし、辛い事だと思うんだけど。全然大丈夫な人たちに対し「全然大丈夫」って励ましているように見える映画でしたけど、でも何が大丈夫なんだろうか?って言う疑問は最後まで消えませんでした。
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08.09.12 記
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