実在した殺人鬼カップル､レイ･フェルナンデスとマーサ･ベックの事件の映画化｡

ジョン･トラボルタが妻を失ったショックを引きずる刑事という渋い役どころを好演｡殺人鬼カップルのレイとマーサ役のジャレッド･レトとサルマ･ハエックも冷酷に未亡人を殺してゆく殺人犯を怪演｡

特にジャレッド･レトは未亡人を騙す時の詐欺師としての素振りと､それ以外のヅラを取った禿頭姿の時との落差やマーサの尻に敷かれてしまう情けない姿を過去の作品のイメージに全く左右されずに自然に演じている｡

話はレイとマーサの犯行過程と並行して事件を捜査する警察の姿が描かれているが､主役の双方に平等にエピソードを作ってしまったために､犯行過程も捜査過程も描き方が中途半端な印象を受けた｡

特にレイとマーサに関しては､レイが嫉妬深いマーサのどこに惹かれて､彼女に従うようになったのかを丁寧に描いて欲しかったところ｡

また､映画パンフレットに載っている実際のマーサ･ベックとサルマ･ハエックとの容姿のあまりのギャップの激しさも､映画のリアリティを失ってしまった｡