虚飾満載の物語ではあるもののハッピーエンドに近づくとおもいきやもういちど地獄につきおとされるという意味では、現実を真摯に受け止めようとする姿勢がとてもよくうかがい知れるお話だった。社会復帰をめざしたければ、不適合者のいつわりの連帯、お友達ごっこの輪から距離をおくことが必要であり、ついで思い出をきりすてることがまず第一歩だ。じつに正しい。愛情にあらぬ憐憫をうけてしまった異性には、おのれを人格者であると認めてもらったうえで別れを告げる必要があるだろう。じつに正しい。

ところで、内田有紀の表情がゆたかなこと！すこしくらいクマメイクがされていたってこの元気娘の生気はすこしも霞みやしない！よどんだ病室にさく大輪の花、マジで惚れるわ。

それと蒼井優の死に神のような囁き、「システムが悪い」。たぶん、こいつがいちばん重症。