前作とは全く別の映画。

そのことは表題の「love ＆peace」からも推測される。 この言葉の「胡散臭さ」は意図されたものであろう。

前作が正攻法でまとめた作品だとすれば、こちらはあえて崩した作品であると 思う。 前作が、誰にも薦めたい映画だとすれば、こちらは人にはあまり薦める気がしない 映画である。 これはこの作品が失敗作であることを必ずしも意味していない。

喧嘩ではじまり、喧嘩で終わる。その喧嘩も前作以上に、この映画が 「ドタバタ劇」であることを匂わせている。 ドタバタ劇であることが意識されるとはどういうことか？ それはこの映画が、所詮絵空事である、ということが意識される、ということである。 そう。この映画はどこまでも「フィクション」なのだ。

幾多の戦争映画の「フィクション性」をも際立たせようとする意志がみえみえな この映画自体がフィクションである。韓国人たちになにかと喧嘩を売る日本人に それほど悪を感じる必要はない。彼らもフィクションのなかで踊らされている 愛すべき人間たちなのだから。

どこまでもフィクションであることが意識される。つまり真摯さまじめさに 欠ける、とも言えよう。 でありながら、唯一つのテーマだけが、きちんと浮上してくる。つまり 「家族愛」だ。

なぜこのテーマだけが、浮上してくるのか？ 答えは簡単だ。　「私たち自身が家族愛を実感しざるを得ない」からだ。 作り手は、そのことを知りつくしている。だからドタバタ劇であることが 許されるのである。 むしろドタバタ劇であるからこそ、家族愛を「演出」することだけに力を いれた一部の作品以上に、家族愛が実感されるのかもしれないのだ。