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[コメント] エクステ(2007/日)

恐い映画ではなく、とことん気持ち悪くておもろいギャグ映画をつくろうとしたのなら、それなりに成功していると思う。しかし園子温、あなたは何処へゆこうとしているのか……。
林田乃丞

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 いちおう下敷きには海外で行われている子供の臓器売買(人身売買)の問題があって、その怨嗟が髪の毛に宿って云々という話なのだろうけれど、物語的にそれを描ききれているかというと、そうでもない。せっかく虐待を受ける子供を登場させているのに、死んだ少女と虐待少女を同調しきれていないので髪の毛が人を殺すきっかけというか動機というかスイッチが明確に打ち出されておらず、結果として少し間の抜けた物語になってしまっている。つまりは暴走する髪の毛が「無差別殺人者」にも「復讐の徒」にもなり切れておらず、恐怖のキャラクターとして確立できていないのだ。だから、映画が恐くない。

 それでも画面の力と会話の巧さ、それにつぐみ他脇役たちの熱演で映画は一定のパワーを維持し続けていて、エンターテイメントとしてそれなりに満足感のある作品だった。

 次に園子温がどんな作品をつくるのかまったく予想もできませんが、『気球クラブ、その後』でとことん萎んだ期待感をふたたび膨らませてくれたことは確か。甘めで★4にします。

(評価:★4)

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