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[コメント] あるいは裏切りという名の犬(2004/仏)

男のノワール、硬派な秀作。こういう映画は男性に勧めたくなる。(2007.01.28.)
Keita

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







映像にしろ、音楽にしろ、役者にしろ、徹底的に硬派であり、そこが良い。華やかな街であるパリが、暗黒街であるように見える雰囲気作り。坦々と事件、人間を描きながら、緊迫感を高めていくこの映画は、派手さはないけれども良質なエンタテイメントに仕上がっている。

物語は常に「裏切り」を意識させる構造のうまさがある。殺人を犯した服役囚の情報を得るか、そのまま彼を逮捕するか…。娘と暮らすために復讐をいないか、それでも譲れない妻の復讐を果たすか…。どちらもメリットがありそうな選択肢が劇中で何度も登場し、どちらかを選んだことにより、裏切りや、それによる危険が舞い降りる。目が離せない。

人間ドラマも関係図に緊迫感があり、面白い。

ただ、主人公2人の映画には登場しないが、会話からなんとなくは感じられる過去の関係。この描写が薄かったのはもったいない。バックボーンが膨らめば、もっと面白さが増したかもしれない。それこそ、2時間半かけて描けるほどだろう。「何を持って対立しているのか」。これが若干弱いのが、気がかりではあった。

そして、多くの方が感じるようにこの素晴らしい邦題! この邦題によって観たくなったと言っても過言ではない。

(評価:★4)

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