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[コメント] 暗いところで待ち合わせ(2006/日)

ハーフの男の子もまた、見えない相手の存在によって支えられていた。
蒼井ゆう21

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







多分田中とハーフの男の子は、似たもの同士なのだろう。「目が見えない」という障害と 「日本人と中国人のハーフ」という「スティグマ」をお互い抱えていること(そしてそれゆえ外の世界に対して心を閉じていること)、また、見えない相手の存在によって支えられている(いた)ということ。

「田舎」の「印刷工場」という閉塞的な場所で、また味方が誰もいない「場所」で、それでも生きていけたのは、公衆電話の短い時間を通じてやりとりをする「家族」の存在だったのだろう。

中国に住んでいる家族は、日本に住んでいる彼にとって、いまや公衆電話でしか確認できない、見えない、「声」でしか確認のできない存在である。しかしその存在は彼にとって一番大事な存在であり、彼を支える唯一のものだろう。

目が見えないことよりももっと問題なのは、自分を支えてくれる誰かがいなくなってしまうことだ、彼はそう思った。田中にとってもっとも危機的だったのは、目が見えなくなったこと以上に、家族を失ったことだったのだろう。

そしてだからこそ、この男の子は田中をに親近感を持ち、また彼女を助けたいと思ったのだではないか。(目が)見えなくても、「存在」を感じることさえできれば、人は生きていける、彼は自分の経験でそう思ったのではないか。

重要なのは「どこ」にいるか、ではなく「だれ」といるか、あるいは、目に見えないが存在を感じられる誰か、ということだろうか、そのメッセージは心に響いた

ただ「佐藤」が悪者役というのがちょっと違和感を感じた・・。

(評価:★4)

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