[コメント] ハッスル&フロウ(2005/米)
メンフィスという土地の魅力が生かされているとは言いがたいが、ヒップホップのルーツとしてのブルース=労働歌を、主人公の日常を通じて描いていて好感が持てる。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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音楽や絵画など、他分野の芸術を扱った映画は、これだけは外せないという真髄をきっちり押さえていれば許せてしまうところがある。それは対象となる芸術への洞察と敬意である。
テレンス・ハワードの心を揺さぶるゴスペルや、宅録製作チームのパートナーシップといった創作を巡るエピソードは切り貼り感があるものの、ハワードが糊口を凌ぐ売春元締めや大麻小売といった、持たざるものの底辺の生活描写が巧い。紡ぎ出されるリリックが彼のこの暮らしを活写しているという説得力がある。
後半、安物のマイクじゃダメ、高級品が必要だ、というくだりは、ハワードとタリン・マニングとの人間ドラマを深めるためだけに設定された方便であり、マイクロフォンが男性器の隠喩になっているのもわざとらしいのだが、芝居の出来がいいからこれに付き合おうかという気になってしまう。そんな予定調和は随所にあるが、最終的に受け入れてしまう人好きのする映画であった。
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