[コメント] RIZE(2005/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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今作を通して観た時、その映画としてのクライマックスは明らかに「バトルゾーン」にあります。細かく言えば最終戦の「リル・マムvsリル・タイトアイズ」。リル・マムのダンスを受けて上着を脱ぎながらゆったりと動いていたリル・タイトアイズが、まるで爆発でもしたかのような激しいダンスへと転じる瞬間こそが今作のクライマックスだと思うんです。もうねぇ、ちょっと鳥肌立った。可愛い子供が見せる子供とは思えない爆発力は、若者たちが広めつつあるダンスというテーマにも充分即しているように思います。
まぁところがこの監督、その後をダラダラと引っ張る引っ張る。灰色の判定、トニーの自宅を襲う強盗、ギャングに殺される少女。ドキュメンタリーだから撮っちゃった事件を流したい気持ちはわかるんだけど、正直もうこっちのテンションはあのシーン以上には上がらないんですよ。そのせいでせっかく撮った現実が「蛇足」的ポジションに陥っちゃっています。これはもう監督が現実に振り回されているとしか言いようがない。挙句の果てにラストにダンスをたっぷり2曲分って、そりゃあんたステーキの後に牛丼出すみたいなもんですよ。げっぷ出ます。
ドキュメンタリーである以上事実を撮影して流すことは大前提なのですが、作品であるためにはやっぱりそこに構成力というものが求められるんだと思います。時に監督には事実をねじ伏せてしまうだけの腕力が求められる。その点で言うなら今作は明らかに監督の力不足です。作品としてはテーマもハッキリしており、映像も美しかった。何よりダンス自体がとても興味深くて面白かった。ある種これは「このテーマを選んだ段階で勝ち」な話ではあるんですが、それでも尚もっと気持ちいい映画に昇華できたような気がします。
あと「タイトアイズ」って多分「目が細い」ってことだと思うんですけど、そんなあだ名が格好よく聞こえてしまう黒人文化ってちょっとスゲぇ。
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