コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ランド・オブ・プレンティ(2004/米=独)

ポールをただの愛国主義者にせず、ベトナム戦争の後遺症が彼にそういう思想を与えている部分が表現されているのは興味深い。
わっこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







9.11のテロ以降のアメリカの社会情勢をアメリカに帰郷した少女とアメリカで暮らす伯父とのドラマを中心に据えて描いた映画。

イスラエルからアメリカにやって来た少女ラナとテロ以降街をテロリストから守ろうとアラブ人を見回る愛国主義者の伯父ポールが、銃撃で殺されたアラブ人の男を家族の元に帰す旅の中でアメリカを守る使命感に抱かれていたポールの心の変化を描いている。

殺されたアラブ人を家族に届ける目的がラナは純粋に家族の元へ帰すためなのに対し、ポールはあくまで殺された男がテロリストと疑い犯行計画の証拠を探すためと対極に表現することで9.11以降のアラブ系住民への人種差別や自意識過剰とも思えるアメリカの愛国主義ぶりを皮肉っているところはよいと思う。終盤でポールの思想が覆され失望する姿が印象深い。

またポールをただの愛国主義者にせず、ベトナム戦争の後遺症が彼にそういう思想を与えている部分が表現されているのも興味深い。

テロ以降のアメリカの政治背景ぶりを批判する映画としてはよく出来ているが、ポールのアラブ人の追跡や盗聴、監視の行動がどれも人通りの少なそうな道でワゴン車に乗ったまま行うという、目立つものなのに、全く警戒されないところは違和感があった。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。