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[コメント] 潤の街(1989/日)

「テーマを撮りたい」という目的意識が全面に出過ぎていて、教育(的)映画であるために、面白みに欠ける点は否めないが、素晴らしい映画であることに間違いない。
SUM

「理屈が全面に出過ぎているし、演出も稚拙」というティーチインでの監督の言葉に残念ながら同意せざるを得ない。説教くさくてリアリティを失っている面も多いこの映画ではあるが、「俳優ではない、日本の学校に通っている三世を主演女優にしたかった」とか「在日一世の手記から得たキーワードを入れた」とか、これらのものが説得力を増している面も間違いない。

1989年という時点で、『キューポラのある街』や『にあんちゃん』の次の世代の、また新しい在日映画を目指したという点では成功しているだろう。 自分を中心に撮ったこの映画だが、カンヌにも出され、海外上映でも理解されたと。面白いことに韓国の韓国人には理解されず、ハワイの日系人には理解されたとのことだ。このエピソードが示す在日を巡る現状は当時とあまり変わっていない気がする。

パッチギ』との共通点・差異を比較する意見も耳にした。監督の金佑宣は『パッチギ』の井筒和幸とも友人だというし、『パッチギ』が大なり小なりこの映画の影響を受けたということはかなり確かだという印象を受けた。この重要な作品のビデオ化が断固許可されないというのは喜ぶべきか悲しむべきか。

(評価:★3)

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