[コメント] きみに読む物語(2004/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
美しい恋愛を前面に押し出した恋愛美談。良い話、泣ける話である。僕はその種の美談を毛嫌いするタイプだが、この話には素直に入り込むことができた。若く奔放な高校時代のノアとアリーの姿には眩しさがあり、逆に老年期のノアからは静かながら熱心な愛を感じる。オープニングロールをはじめ、随所にこの美しい話を盛り上げる美しい映像風景がある。こんな美しい恋愛ができたら・・・と頭に浮かべてしまう。
しかし、良い話や美しい話だけでは、良い映画には必ずしもなり得ない。鑑賞後に爽やかな余韻を残すが、あまりに爽やかなことが仇となりすぐに消え失せてしまいそうな余韻でもある。全米でベストセラーの小説が原作の作品だが、この良い話は活字だけでも十分成り立つ。せっかく映像化するからには良い話や雰囲気作りのための美しい景色だけではなく、映像から伝わる力など付加価値を求めたくなってしまう。大衆デート映画に多くを求めすぎているかもしれないが、もっともっと良くなったのではないかと思ってしまうのだ。
それでも若いカップルがふたりで映画を観るならば、この映画は自信を持って進められる一本であるとも思うのだ。
ちなみに、CHEMISTRYの特典映像だが、僕も最低だと思う反面、批判できない部分もある。スターの出演もなく、派手さもない、しかしアメリカでは口コミでヒットした作品を日本で売るのは簡単ではないはず。普段から映画の情報を常に入手している観客だけではなく、ライトユーザーに向けてもアピールする必要があると思うのです。そこでCHEMISTRYのような若年層にバラード曲が人気ある歌手とタイアップすることで、映画の知名度を高める大きな告知の効果がある。「CHEMISTRYの曲が宣伝で流れてる恋愛映画」という認識からデートで劇場へ足を運び、デート映画としてなかなか出来栄えから素直に感動すれば、彼らにとっては良い時間を過ごせたことになるのではないかな、と思う。おそらくCHEMISTRYによって映画の存在を知った観客でも最後の特典映像は必要ないと感じるだろうが、おそらくそこまで怒りを感じることはないように思う。
しかし、特典映像がひどいと不満を覚える観客がいるのも当然。CHEMISTRYどうこうではなく、最初からこの映画が観たくて楽しみにしていた観客ならば怒って当然。配給のギャガが宣伝のためにコアな客層を無視したとも思う。なので、もう少し違った方法によるタイアップを考えられなかったかなとも思う。配給会社が映画を商品にしている以上、お客さんを入れるように努力するべきではあるが、入る映画がすべてというわけでもないということも知っておくべき。結構難しい問題です。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。