[コメント] イブの三つの顔(1957/米)
多重人格障害を取り上げた先駆的作品だが、センセーショナルな題材に引き摺られず、ジョアン・ウッドワードの名演技とナナリー・ジョンソンのケレン味のない演出で、じっくりと味わえるドラマになっている。
ほとんど室内シーンだけで構成されているが、下手に屋外シーンを使ってドラマに不必要なアクセントを加えることのない一方で、シーンごとのナレーションの背景にクルマの映像を配することで観客に息苦しさを感じさせない。
心理描写には不利とも思えるシネマスコープで撮影されたのは当時の時流かもしれないが、悩み、葛藤する主人公を室内空間の奥行きや広がりの中に配置することで、必要以上の緊張感から逃れている。
無理に「感動のドラマ」として盛り上げることもなく、好ましい作りと感じたけれど、こうしたことが作品としての存在感としての印象をやや薄くしているのかもしれない。
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